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ことばのおしいれ

言葉にしないと、伝わらない。

今年の夏コミ、個人的には数年ぶりの参加でした。

前回は、まだ学生の頃で。

それから3~4年がおそらく経っていて、あいさつ回りに行く人が変わったし、なにより、自分が変わったなあと。いつの間にか社会人になり、挫折して、迷いの海にいて、見えない灯りを探してさまよっている。気温の変化とプレッシャーに弱くなって。

そんな自分に、ひとつの光明がある。

光明なんて恰好が良くて、まあ体のいい「現実逃避」なのだけど、それが「ミリシタ」であり、「桜守歌織」という女性だった。

彼女が新しい世界へ、羽ばたいていくその様は、迷いの海にいるわたしには間違いなく「光」だったと思う。まあたかがアニメ、ゲームなのかもしれないけど、でもだいぶ心の支えになったのは間違いがない。彼女は「かわいいから好き」ではなく、動きだせないわたしの手を引いて、「一歩先の世界へと一緒に連れだしてくれる」ように思った。容姿というよりは、彼女の生きざまが、わたしを後押しさせてくれるようで。

本題はここからで、そういうわけで歌織さんを知り、様々な作家さんを知るにあたって、桐ト市先生(@k_toichi)を知ったわけです。

わたしの知識不足かもしれないけど、ここまで歌織さんを丁寧に描き出す方はいないように思った。

 

そんな中迎えたコミケ。朝から並ぶ体力はなかったけれど、昼前に入場して真っ先に向かって、「在庫あるやつ全部1つずつください」という恥ずかしい注文をして、他の用事を済ませつつその日は終わった。

翌日、何気なくカバンを放り投げる自室の隅で、カバンから取り出して読んでみたらまあ、その場でぼろぼろと泣いてしまった。

普段ならこのまま「よかった」で終わってしまうのだけど、今回は感謝というか、良いものは良いとしっかり伝えなきゃと思った。それは「あなたの背中を伸ばしたくて」にもあったけれど、「言葉にしないと、伝わらない」からだ。

 

なので、見てくださるかはわからないけれど、なんだかとても恥ずかしいけれど、書いておこうと思います。感想。

 

 

「あなたの背中を伸ばしたくて」(新刊)

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とにかく、丁寧で細かくて書き味にとにかく揺さぶられた。ノベルティの仕掛けもすごいけれど、どこまでもスッて読めてスッと入る。好きって自分にない部分への憧れから来る部分ってあるけど、近づくとどんどん相手も自分に合わせて変わっていって、そのまま好きな人のいいところを壊すかもしれないという怖さとか、でもそれに苦しさを感じたら、わたしの好きは「わたしにないものを持っているから」という、相手そのものには「好き」がないのか?などなど、余計なことまでとにかく自分事のように考えてしまう。相手のことが分かってきたように思って、話すことに対してちょっと雑になっちゃう時期とか、でもやっぱりちゃんと「言葉で伝えななきゃね」という。とにかく丁寧で、普段気にしないけどああ確かに、そういうことをふと思うよなあみたいなところに対する感度がまあすごい。こうした心の機微にちゃんと気づいて、形にできるのはすごいなあと。自分も日々を丁寧に生きて、こういう気づきをちゃんと「気づける」ようになりたいと思います。

 

以下既刊の感想です(しろがさくが売り切れていたのは一生の不覚でした。どこかで手に入るでしょうか)

 

「しろにさく」(既刊)

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最初にこれから読んだのですが、まず冒頭から参ってしまった。なにせ白雪さんと自分が置かれている境遇が近いものだったからで、ちょっとこれはびっくりしました。なので基本的に自分のことのように読んでいました。どこまで読んでもわたしが歌織さんに惹かれた理由のすべてという感じがして、なんだか心を読まれているようで不思議な気分がしました。これはもうなんだかミリシタで歌織さんに出会ってここ数ヶ月の気分そのままです。だからこそ、作中の白雪さんと同じように、自分がしたことの手ごたえとか、そういうのに「これだ!」って思えるようになりたいと強く思いますね。自分の「迷い」に対して後押しをもらえた気分がします。わたしもスカウトされないかなあ……

 

「しろとさく」(既刊)

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自分の意思で進む怖さ、不安を乗り越えていく話ですが、自分の意志ってある意味で「わがまま」なんですよね。歌織さんって「あなたの~」にもでてきますが、やっぱり自分のことをちゃんと大事にするのが苦手なんですよね。自分のわがままを通すのにとても勇気がいるし、失敗も人より大きく自分に響いてしまう。それが他人に影響を与えてしまうものであればなおさらで。だから自分の意志を貫いていいのか、迷う。自己の意思は誰かしらを傷つけるかもしれない不安。これは実は対応に追われる白雪さんもきっと思っているところで(莉緒姉とこのみさんに頭下げているところとか)、でもそれに対して、「ちゃんと責任を果たせていればいい」みたいな返し方をこのみさんがするんですよね。そう、「わがまま」は周囲に無頓着で、キツくいえば「傍若無人」だから嫌われるのであって、自らの判断が周囲に迷惑をかけるかもしれないという自覚があってはじめて、自分の意志ってちゃんと貫けるんですよね。なんだろう、とにかく普段暮らしながらどこまで考えているんだろうと思うくらい、繊細。やっぱり丁寧に、日々を大事に生きようって思う。

 

以下、デレ、AS系の同人誌なんですが。

実はわたしがアイマスの世界に足を踏み入れたのはミリからなんですよね。だからデレ、ASは背景がわからないです。きっとト市先生なら、コミュとかエピソードとか、とてもよく呑み込んで描かれていると思うんですよね。だからきっといい意味でその背景が分からないときっと表現の奥の奥までたどり着けない。って思うんですよね。なので感想をいうのは的外れになってしまう気がして。「それなのに買ったのかよ!!」ってハナシですが、もうとにかく、全部読みたい!と思ってたんです。

でも、わたしも受け手として作品に真摯でありたいなあと思うので、感想はちゃんと登場人物たちのことをちゃんと知ってからにしようと思うから、割愛します。どれもこれも、出てくる登場人物全員を「もっと知りたい」と思わせるには十分すぎる内容で、特に「あの日の向こうに見えた空」(美希本)は、あとがきまで読んで、その背景の一端を知って、彼女のことをもっと知りたいなあと思ったり。

以下、感想割愛。でもどれもこれも感想を言いたいけど、

もっとアイドルマスターのことをよく知ってから、もう一度読んだら、きっと違う世界が見えるんでしょうね。その時にでも感想を書こう。

 

「あの日の向こうに見えた空」

「水底のしあわせ」

「いつか境界の向こう側で」

「もしもケガをしたアナスタシアの代わりにアンドロイドが作られたら」

「TRuE」

 

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大切なことにたくさん気づけました。

ありがとうございます。