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ことばのおしいれ

あしたの生き方を変えるためには

池袋シネマ・ロサで行われている「劇場版たまゆらー卒業写真ー」の4部作一気見上映に行ってきた。4時間強、かつ毎話ごとに泣きまくり…非常に体力を使う上映である…

控えめに言って最高!優勝!なのだが、それだけでは語りつくせないメッセージが私には届けられたような気がする。そのメッセージとは何だったのだろう。

もう上映開始から時間が経っているのでネタバレ全開でお送りしていこうと思う。今後見る可能性があり、それをわくわくどきどき楽しみにされている諸兄は以下あまりご覧にならない方がいいかもしれない。

 

ストーリーは主人公の沢渡楓(ふうちゃんとかぽってとか呼ばれているのである)と彼女を取り巻く竹原や横須賀の人々との温かい交流の話であって、とにかく彼女が高校一年生の春に竹原に来るところから話が始まる。時間が過ぎゆき、劇場版では彼女らの最後の一年間、つまり高校三年生を描いた作品となる。

高校三年生といえば、もちろん、話題の中心となっていくのは進路の話題である。ぽっての同級である3人の女の子はそれぞれ、進む先に迷い、悩みながら答えを出していく。最初から明確な好きがあって、それを追いかけていいと決意できた者、収拾がつかない多くの興味を長い人生の中で少しずつ消化していけばいいと感じた者、、いろいろな答えを出していく中で、一人、塙かおる(主人公にはかおちゃんと呼ばれている)はある意味で一番色のないキャラであっただけに、自分は他人の期待に応えてばかりで、自分で何がしたいのかわからないと苦悩する場面が重点的に描かれていた。

結局彼女は、自分の目指す道を、半ば運命的な形で(ある意味ではフィクションなタイミングで)出会い、決意を固めていくことになるのだが、彼女が苦悩する過程で彼女の姉と自室で言葉を交わすシーンが特に惹かれるものがあった。

自分は他人にスイッチを押してもらわないと何もできないのだと漏らす彼女に対して、姉は「かおるちゃんは分かってないなあ」と言いながら、彼女の得意なこと、性質を再定義していく。それはかおちゃん本人にとっては意外な視点であり、その後の一歩の大きな動機の一つとなっていく。

これは一種のブレイクスルーで、いままで自分が考えていた「自分ができること」による選択肢の検討から、他人によって新しい「自分ができること」に気づき、新たな選択肢が生まれ、それによるあしたの生き方の選択であったように思う。

 

ここでわたしの話に移るが、ここ最近、自分には何ができるのだろう?何が得意なのだろう?ということに苦悩することが多い。就職活動という一種の「思考停止状態」から解放されたことで、一気に自分が逃げ続けていたことが押し寄せてきている。

やりたいことはたくさんあったはずなのだが、いつの間にかあきらめたり時期を逃したりしていつの間にか身動きが取れなくなっている自分がいる。

このまま生きていってもおそらく大して支障はないと思うけれど、わたしは人生に埋もれていくそういう生き方はしたくない。なにか、私にできないことを何かを為したい。そう思う。

でも身動きが取れない、自分が持ちうるソース、力、選択肢が気づいたら無くなってしまっていた。どうしてこうなってしまったのだろうかと考えると、おそらく「インプット」がいつの間にかストップしてしまっていたことによる(アウトプットも同時に重要なのだがこの話はまた別の機会に)。

読書量の減少、大学の講義を真面目に受けてない(?)など、思いつくところはいくつかあるが、一番大きいのは「気づいたらいつの間にか度を過ぎた頑固、あまのじゃくになっていた」ということだと思う。

いつの間にか本が私に響かなくなったし、他人が言うこともなんだか遠くなってしまった。自分の心をガツンとうったり、他人が言うことを信じてみようという努力が無くなってしまっている。

 

あしたの生き方を変えるためには、わたしに関していえば、他人に向けてもっと「ひらく」こと。ここに収束するのだ。

実はこのことは仲のいい友人にたびたび指摘されてきたことなのであるが、今回の「たまゆら」を通じてはっきりし、腑に落ちるところがあった。「ひらく」ことは、自分のアイデンティティを疑い続けることだから、自分にとってはきっと大変なことだと思うけれど、ブレイクスルー、少し今の状況から一つ抜け出したいわたしには、必要なことなのだ。

 

たまゆら」はそんなことをわたしにメッセージとして教えてくれた。

そういう意味では、あしたをいきる希望を少し貰うことができた。途中でいっぱい泣いたけど、最後は泣かない。いい映画でした。

 

【余談】わたしはどうもアニメーションによって翻訳されれば、いろんな事象や考え方、視点を吸収しやすいみたいです。これは理由も何もなく特性のような気もしますが、理由が気になるところです。どうしてなのだろう…?